2011年3月15日火曜日

計画停電への備え(冷蔵庫編)

未曽有の大地震が起きた。
管理人は命に別状はなかったが、少しだけ被害を受けた。

いや、大惨事の真っ只中にいる人に比べれば、なんの被害もなかったに等しい。
日本中が大変な事になっている現在、自分に出来ることを考えてみる。

管理人の本職は熱系の技術者であるので、
これからしばらくの間続くことが確実な「計画停電」で最も困ることの一つ
・・・冷蔵庫の機能維持について考えてみる。

3時間程度の停電では冷蔵庫を開けなければ、それほど大きなダメージはないと思われるが、これから暖かくなってきたとき、あるいは、どうしても低温を維持できないと困る物・・例えば、病院で使う薬品類など・・・に対しては以下の対策が考えられる。



◯水は最高の蓄冷剤である。

冷凍機機能を長時間維持するのは難しいが、実質的なヒートマ
スを大きくすることで冷凍能力が断続的に変化した場合でも温度変化を少なくすることができる。よってなるべく実質的なヒートマスが大きい物を利用する。

そして冷蔵庫の温度域でヒートマスが大きい物質はズバリ水である。水を蓄冷剤として利用し、利用の仕方としては融解潜熱と顕熱を両方利用する。

水は蓄冷剤としては非常に優秀でなおかつ漏れたときのリスクも少ない。融解潜熱は333kJ/kgあり、冷蔵に使えるものとしては、ほぼ最大である。ゲル状の蓄冷剤が市販されているが、ゲル化によって対流が抑制され、放熱量が少なくなるため、長時間もつことはもつが、蓄冷剤としてみたときは、ゲル化剤の分蓄冷能力は少ないため、わざわざ買う必要はない。また、顕熱蓄熱として見た場合も、水の比熱は非常に大きく、液体で4.2kJ/(kgK)、固体つまり0度以下で2.1kJ/(kgK)あり、この温度域でこれ以上の物はない。

よって、水を利用した蓄冷剤を使用するのが最も賢いと思われる。管理人は以下の「ペットボトル蓄冷剤」を作り、停電に備えている。ちなみに、蓄熱量は潜熱量+顕熱量×温度差である。温度差はそれほど大きくないのでほぼ潜熱が支配的である。


◯ペットボトル蓄冷剤の作り方

1)作り方
ペットボトル(500ml)に水を85%くらい入れ、冷凍庫で凍らせる。
水は凍ると体積が10%程増大するので、満タンするとペットボトルが膨張し、場合によっては破損する。よって少し空気を残しておく。

2)使い方
凍ったペットボトルを停電の少し前に冷蔵室の上の方に入れる。停電して冷蔵室の温度が上昇すると暖かくなった空気は上方に移動するので、そこで凍ったペットボトル蓄冷剤で冷やすという考え方だ。

一般的な冷蔵庫の漏熱量がどのくらいかデータを持ち合わせていないが、おそらく100W程度のものであろう。とすると、3時間程度持たせるためには、

3×3600×100=1.08MJ となり、潜熱のみ計算すると、水3kg分の潜熱が必要となり、ペットボトル6本程度が必要ということになる。ただし、冷蔵庫に入っている物体や、冷蔵庫の壁面なども蓄冷しているわけで、これほどの量は必要ないかもしれない。あとは実際にやってみて様子をみるのがよいであろう。


◯その他の方法について

冷蔵庫を一時的に低温にし、温度上昇分をカバーすると言う考え方もあるが、温度差が大きくなると、ヒートポンプの効率は著しく低下するのでお勧めはしない。

言うまでもないが、停電中は極力冷蔵庫を開けないようにし、冷気を外に出さないことだ。

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