2010年7月10日土曜日

最新の宇宙論とパラレル・ワールド

パラレル・ワールドとはSF好きでなくても、一度は考えてみたことがある話だろう。しかし、多くの人の反応は現実には決してありえない話として受け止めるだろう。特に、理科系の人間には到底受け入れられる話ではない。

しかし、最新の宇宙論ではこの荒唐無稽とも思えるパラレル・ワールドを肯定するような議論がいくつか真剣に行われている。

ここで本題に入る前に、21世紀を迎え、科学技術は成熟期を迎え、もはやすべてを知り尽くしたがゆえに大きな改善の余地が望めなくなったかのような閉塞感が漂っているが、当ブログではそれを明確に否定したい。

例えば、我々は宇宙にある物質とエネルギー(両者は量的に等価なものとして扱える。)をどのくらい知り得たのだろうか?・・・最近の観測結果によると我々が知っている「物質」は全宇宙のわずか4%に過ぎず、残りはダーク・エネルギー、ダーク・マターであるということが分かってきている。つまり我々は宇宙の(ある意味)たった4%しか(宇宙の果ての小さな岩石型惑星の上にかすかに生息する生命体にしては上出来だが)知り得ていないのである。

つまり、われわれはやっと、宇宙について何も知らないという「無知の知」を認識するに至ったばかりなのである。したがって、人類が繰り出し売る叡智も、宇宙の広がりと同じく無尽蔵に残されているはずである。

さて、パラレル・ワールドの話に戻るが、最近の宇宙論ではいくつかの可能性が取り上げられている。

アレキサンダー・ビレンキン「無からの宇宙創成」という論文では、インフレーション宇宙の中に無数の子宇宙がそれぞれに無数のインフレーションを続けており、我々が観測可能な領域は子宇宙の中の光が届く範囲に過ぎないという。なんともスケールの大きな話だが、宇宙の始まりはあるが、終わりはない。インフレーションは無限に続き、やがて観測可能な範囲の密度は下がってゆく。このモデルでは、他の宇宙の情報を得ることはできないため、その存在の証拠を得ることはできない。

もう一つ、ブレーン宇宙論ではさらに分かりやすい解釈として5次元以上の高次元時空に複数の宇宙が存在するというものである。

パラレル・ワールドが受け入れられにくいことの一つとして、他の宇宙の観測が不可能だということがある。観測ができなければ想像の範疇を出ることはないから、議論しても空しいばかりである。しかし、このモデルが興味深いのは他の宇宙を光で見ることはできないが、重力波は他の宇宙へと伝わることができるというのだ。つまり、パラレル・ワールドの情報を何らかの形で受け取ることが出来るというのだ。

隣の宇宙で激しい重力が発生したら、地球は地震に見舞われるのだろうか?あるいは隣の宇宙と衝突したら・・・となりの宇宙からのメッセージは出来れば、穏やかなものであることを期待したい。

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